※この記事はネタバレありとなります。作品を読み終わっている方、またはネタバレを気にしないという方のみお読みください。
よくある甘やかし系のシチュエーションラブコメかと思って読み進めたら、まさかのガチもん激重地雷ヒロインと家庭環境狂ってる主人公の共依存物語でビックリしました!この初見の衝撃を味わえて良かったと心から思いますね。滅茶苦茶面白かったです!
【概要】
角川スニーカー文庫より2023年9月1日に発売。
著者は藍月要先生
イラスト担当はtetto先生
【あらすじ】
ピンクと黒を基調として、リボンやフリルをふんだんにあしらった特徴的なファッション――地雷系。そういった服装を好みながら、中身は世話焼きな女子高生・雷原甘音が秘めた願望――「誰かに甘やかされたい!」
とある出来事から、俺はバイト先の常連の甘音にそんな心中を打ち明けられた。日頃頼られすぎて、なかなか人に甘えられないそうで……。彼女の願いを叶えるため、ゲームセンターで遊んだり、お祭りデートしたりとめいっぱい甘やかす!
「甘えちゃって、“ほんとうに”いいの?」
見た目は地雷系な彼女との、二人だけの時間が始まる。
【感想】
この作品で一番の注目はやはりヒロインの甘音でしょう。
公式のあらすじは少し間違っていて、頼られすぎて甘えられないのではなく彼女自身が他人に尽くしすぎて自分本意に物事を考えられないから、他人に甘えられるようになって自分の異常性をどうにかしたいというのが正解。
そんな常識を逸したお世話欲を持つ彼女が主人公に手伝ってもらいながら他人に甘えられるよう努力するドタバタ劇のような日常描写では沢山の可愛いが見られて癒されました。そして共に過ごす日々のなかで恋をしていることに気づいた甘音が、同時に自らがファッションだけではない本物の地雷系女子であることに気づいた瞬間は僕も彼女と共に驚愕に包まれました。けれど嫉妬深い姿も自分だけを見てほしいと願う姿もやっぱりとても可愛くて。
一度はまともじゃない自分が彼と一緒になることはできないと考えるものの、主人公がときたま見せた歪さや盗聴、クラスメイトへの聞き込みから彼が抱えるものの真実にたどり着き彼を救うために起こした甘音の行動は、一般的に見れば異常者そのものだけれど、きっとそうすることでしか彼を救うことはできなかったですし出会うべくして出会った最高にお似合いの二人だなと思いました!歪な男女で支え合う、甘えて甘やかしての永久機関共依存関係が素晴らしすぎました!
甘音の妹が語る家族内においての甘音という存在についてや、主人公の叔父の的確なアドバイスや支えといった、家族親族の描写も超最高に魅力的!
序盤は順当に読者を楽しませつつほんの少しの違和感をにじませ、突然予想外の方向から読者を突き刺し、そこから劇重の好きの原液を流し込むような作品でしたね。最高の読書体験ができました!