文句なしに素晴らしい青春恋物語!身近な人の死と共に描かれる物語にはあまり触れたことのない僕でも凄く楽しめました!
【概要】
HJ小説大賞2021年後期入賞作品
HJ文庫より2023年5月1日に発売。
著者はののあ先生
イラスト担当はぷらこ先生
【あらすじ】
蒼井ナツシには幼い頃から好きな人がいる。けれど、その気持ちをナツシはずっと秘密にしていた。
何故ならその女性は、一回り近く年上で、幼い頃から知っているお姉さんで、今は一緒に暮らしていて、何より、兄である陽の恋人だったから。
そんな複雑な気持ちを抱えたまま、月日は過ぎていき――。
「なんで死んじゃったんだよ、陽兄ぃ……」
もう三人で仲良く遊んだ夏は訪れることはない。
それでも再び夏は来る。決して忘れられない、新しい夏が。
【キャラクターについて】
亡くなった兄の恋人への想いを幼い頃から今現在まで持ち続けて、それを伝えられずにいる主人公、ナツシ。普段は何でもないように大好きな想いを隠して幼馴染のお姉さんと共に楽しく日常を過ごしながら、ふとした時に苦しさや切なさが溢れだし苦悩する彼の姿に心を揺さぶられ、目が離せませんでした。
彼が想いを向ける年上幼馴染の海華さんは、あくまでもナツシさ大切な人の弟であり、自分は保護者であるという認識なのがまた切ない。彼女も普段はポンコツ気味でポンコツ可愛い姿を見せながらも、根底にはまだ苦しみを抱えているのが分かる描写は鋭く心を穿ってきたした。
ナツシの親友やそのお姉さんも非常に存在感のある魅力的なキャラクターで大好き!二人がいなければ大きく物語が変わっていたと言えるほどの大活躍に拍手を送りたいくらいです。
【展開について】
停滞していた時間が紆余曲折を経てまた動き出して、諦めきれない想いを貫くための覚悟を決めて一歩踏み出した主人公が新たな日常を掴みとる姿は本当に格好良くて感動しました!
『約束』と『願い』と『想い』が大切に扱われた素晴らしい1冊です!
【推しポイント】
とある挿絵の演出。あとがきを読んでそこに注目してくださいとあり、見返してそれに気づいた瞬間興奮と感動で思わず叫び声をあげしました。あれは凄すぎましたね!