演劇とミステリと恋。全ての要素で大満足できる最高の1冊でした！切なさと愛しさを同時に感じられる物語はやはりとても良いものです。
【概要】
電撃文庫より2023年3月10日に発売。
第29回電撃小説大賞《金賞》受賞作。
作者は四季大雅先生。ガガガ文庫より『わたしはあなたの涙になりたい』でデビューしています。
イラスト担当は一色先生
【あらすじ】
これは「僕」が「君」と別れ、「君」が「僕」と出会うまでの物語だ。
瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する能力を持つ大学生・紙透窈一（かみすきよういち）。退屈な大学生活の最中、彼は野良猫の瞳を通じて、未来視の能力を持つ少女・柚葉美里（ゆずのはみり）と出会う。
猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立することに驚くのもつかの間、『ミリ』が告げたのは衝撃的な『未来の話』。
「これから『よーくん』の周りで連続殺人事件が起きるの。だから『探偵』になって運命を変えて」
調査の過程で絆を深める二人。ミリに直接会いたいと願う窈一だったが……
「そっちの時間だと、わたしは、もう――」
死者からの手紙、大学の演劇部内で起こる連続殺人、ミリの言葉の真相──そして、嘘。
過去と未来と現在、真実と虚構が猫の瞳を通じて交錯する、新感覚ボーイミーツガール！*1
【キャラクターについて】
過去を読み取る力を持つ青年と、未来を視る力を持つ女性。正反対の能力を持つ二人が時間軸を超越した触れることのできない同居のような生活のなかで、少しずつ心を通わせていく様がとても素敵でした！
また、心優しく繊細で思いきりもある窈一と可愛らしさとミステリアスを兼ね備えた美里の、大切に想う人を守りたいという感情は、とても強く伝わってきてどちらにも深く感情移入できるくらい凄かったです！
そして彼が所属することになる演劇部の部員達も個性豊かで、特にとある先輩の演劇にかける熱量には圧倒され、心に響きました。
【展開について】
一つの殺人事件をきっかけに、猫の瞳を通して過去に存在するヒロインと出会い、そして連続殺人事件の解決のため物語の舞台へと上がった主人公が推理と救済のため奔走する様が、ハイクオリティの心情描写やミステリ描写と共に描かれていて夢中になりました！
時間軸のズレ、未来の変動などの特殊設定が存分に活かされた演出の数々も素晴らしかったですし、終幕に明かされた真実とラストには感嘆の声をあげるほど心打たれました。凄いものが見られたなと言うのが正直な気持ちです。
【推しポイント】
ミステリ描写のクオリティ。個人的には一番心掴まれた部分です！
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*1:BOOK☆WALKERより引用
