徹底されたメタフィクションとキャラ魅力のバワーに圧倒され心掴まれました!読んでいてとっても楽しかったです!

【概要】
角川スニーカー文庫より2024年11月29日に発売。
著者は寺場糸先生
イラスト担当ははな森先生
【あらすじ】
「私は、この現実に物語を持ち込みたいの」
この文章を読んでいるということは、貴方は「読者」ということね。
はじめまして、私はメインヒロイン・高嶺千尋。この物語は私が主人公である手塚公人くんを超文芸部にスカウトするところからスタートするの。
活動の目的は――この世界を物語みたいに楽しいものにするため。
超高性能な電子生命体のミカコに、庶民的お嬢様の薔薇園先輩、中二病のイケメンのシドくん。
登場人物もすばらしい逸材を揃えたわ。
あとはこの物語が他でもない手塚くんの視点で描写されるだけ。
そうしてはじめてこの「ライトノベル」が完成するはず。
そう、これはメタフィクションでなによりラブコメのライトノベル。
【感想】
この作品はキャラクター達が「自分はライトノベルの登場人物である」ことを自覚し、その作者に『僕はライトノベルの主人公』というこの物語の執筆と完成を委ねられ、公人を主人公兼語り部として配置し現在進行形でストーリーが進み本が完成に近づいていくという究極のメタフィクションを実現した特別で素晴らしい1冊でした。
まずこんな形式で執筆するという発想もすごいですし、実際にこれでこんなにも面白くて心躍る文章になっているのもすごいです。
主人公の公人やメインヒロインの千尋をはじめ、キャラクター達の「生きている」を強く感じさせてくれる描写表現。物語の構成のお手本に沿いながらも、一人称や三人称、作者に与えられた属性や能力を巧みに使い彼らがトラブルを乗り越え全身全霊で物語の完成を目指し進む過程。観測者、読者の存在を意識したここでしか見られないであろう独特な言動。その他にも読んで感じる様々な魅力が詰まっていて引き込まれました。メタに抵抗がなければきっと最高の読書時間を味わえます!
【推しポイント】
どこにでもいそうでなかなかいない少年である公人が、主人公兼執筆者として頑張る姿に惚れました!自覚をもって、時には情けなさを見せながらも、決めるとこはしっかり決めるのが王道だけれどやっぱり一番!
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