ラノベ感想&紹介便

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【新作ラノベ感想】かくて謀反の冬は去り

※この記事はネタバレありとなります。作品を読み終わっている方、またはネタバレを気にしないという方のみお読みください。

TYPE-MOON大好きな僕として絶対に見逃せなかった、武内社長の推し作品。もちろん期待値は高かったのですが、大きくそれを越えてきました!文句なしに凄い作品!

 

 

【概要】

第17回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作

ガガが文庫より2023年7月19日に発売

著者は古河絶水先生

イラスト担当はごもさわ先生

【あらすじ】

王弟、奇智彦尊殿下。王室の忌み子。弱小王族。足曲がり。サメの王子。

奇智彦は軍の式典で、帝国から祝いの品として送られてきたそれと対面する。

女奴隷、シニストラ。美しき獣。熊の巫女。おそるべき犯罪者。

意志とちからはここに出会い、王国をあらたな争乱が包み込む。

兄が、死んだ。王が、死んだ。ならば――次の王は、誰だ? 

奇智湧くがごとく、血煙まとうスペクタクル宮廷陰謀劇!

 

【キャラクターについて】

やはりこの作品一番の魅力は、主人公であらせられる奇智彦尊(くしひこのみこと)殿下でしょう。生まれつき半身が不自由でちからはなく様々な不名誉な名前を付けられている彼ですが、意思が強く弁が立ち知恵深く油断ならない恐ろしさと優しさを持ち合わせ、不思議な魅力を醸し出しています。厄介な人物の相手に四苦八苦したり、苦境に立たさされ混乱したり、隙のない語りで他人を手のひらで転がしたり、的確な采配で物事を有利に進めたり。彼が見せてくれたどんな顔にも活躍にも、心惹かれ惚れ惚れしました!

他にも荒々しくも気品ある熊の巫女、自尊心の塊な兄、奇智彦に深い忠誠心を持つ護衛と側仕えの兄妹、蛇のような近衛隊士官、無邪気で幼い王女様など。様々な形のちからや癖の強さを持ったキャラクター達の表現も見事でした。

 

【展開について】

土台が宮廷陰謀劇ということで内容に難しさはありましたが、読ませる力が強く引っ張られ圧倒されました。

前半は女奴隷シニストラとの出会いから人物紹介を兼ねた物騒な日常が語られ、後半は兄王の突然の死を受け自身が生き残るための奇智彦の策謀劇が繰り広げられるという構成。最初から最後まで楽しさと怖さと緊張感がない交ぜな独特な空気感があって特別な読書体験ができたと思います。

説得力のある結末へのもっていき方が大変素晴らしくて気持ち良かった!

 

【推しポイント】

キャラクターについての枠でも書きましたが、奇智彦尊殿下は本当に格好良くて良いキャラです!要注目!

 

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