読む前の想像以上にドはまりしました!純粋に楽しい日常の様子を描くタイプの作品は久々でしたが、それがとても心地よく最後まで飽きなく堪能できました!

【概要】
MF文庫Jより2025年10月24日に発売。
著者は涼暮皐先生
イラスト担当はにわ田先生
【あらすじ】
警戒心強め。でも一度懐くと無防備です。
「……あの子には、拾ってくれる人がちゃんといたんだね」
高校二年生の温泉川理玖と、他校の有名な美少女・速水珠宇。
縁もゆかりもなかった二人は、一匹の捨て猫を通じて雨の公園で出会うことに。
空の段ボールの前、ずぶ濡れでしゃがむ彼女の姿は、なんだか二匹目の捨て猫のようで──
見かねて珠宇にシャワーを貸した理玖。普段は猫を被っている彼女は、理玖にだけ懐いたのか、理玖の自室に居座ったり、自分の物を置いていったり。
巻き込むことを恐れる理玖と、頼ることを恐れる珠宇。二人は二人だけの関係を探り始める。
これは一人でも生きていける系男女が、それでも一緒にいる理由を探す日常小説。
【感想】
多趣味で興味をもったことに熱中すると一緒にいる人を気遣えなくなるからと一人でいることにした理玖と、大多数の他者に気を遣い素を見せられる場所が限られ生き苦しかった珠宇。捨て猫をきっかけに交流を深た二人が、お互いに無理に気を遣わなくとも一緒にいて楽しいという関係を築いて、料理を振る舞い合ったり喫茶店でお茶したりバーベキューしたり海に行ったりと本当に何気ない日常を過ごす様を、心地よい空気感を肌と心で感じられる丁寧な筆致で表現していて最高に面白かったです!
自分も割とこの2人寄りのタイプで一人行動が苦ではないからこそ共感できる部分もあり、やっぱり自分の趣味を一緒に楽しんでくれる誰かがいるのは幸せなことだよねと思いましたね。2人にはいつまでも一緒にいて幸せでいてほしいなと心から願ってます。
また、タイトル回収や拾った・拾われたの解釈の描き方は流石のセンスで巧くてすごかったです。こういうのを味わえるのも読書の醍醐味だなと感じ入りました。
【推しポイント】
理玖と珠宇が、お互いに恋人になる気は全くないけれど明らかに恋人を遥かに超えた、一緒にいて心地よい特別な関係性を無自覚に築いているところがたまらなく尊い!
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