表紙の猟奇と狂気の具合とあらすじの怖さから、気にはなりながらもなかなか手を出す勇気を持てなかったのですが、いざ!と覚悟決めて読んでみたらとても素晴らしい勇気と信頼と幸福のお話で大満足できました!

【概要】
ダンガン文庫より2024年4月26日に発売。
著者は十利ハレ先生
イラスト担当はにゃんぽ先生
【あらすじ】
狂気に侵された童話の世界を浄化せよ──。
不治の病に侵された妹を持つ少年、御空マヒルは少年院の図書室で真っ赤な本を見つける。好奇心から開いてみると、よく知る赤ずきんとは全く違う惨劇の物語となっていた。呆気に取られたマヒルは気づけば、真っ白な空間のなかで怪しげな少女の前に立っていた。
「さあ、始めようか──これは正真正銘、君の物語だよ」
そして始まる狂わされた円環の輪。失敗すれば死に、何度でも繰り返される狂った童話。クリア条件不明、難易度最大、味方なし。この物語の果てになにがあるのか。
「いってらっしゃい。幸運を祈っているから──死んでおいで」
【感想】
とてつもなく不幸な身の上で、復讐のため傷害事件を起こし少年院に入っていた主人公マヒルが、狂気に侵されたおかしい童話を浄化する存在として選ばれ、幸せな結末を目指す物語。
登場キャラクターは基本的に誰もが知っているオーソドックスな設定なのですが、主人公が白ずきんであったり、魔女も出てきたり、おばあちゃんは一見普通に見せかけて...。そんな彼女たちが明らかに異常な挙動言動でマヒルを絶望と死へ叩き込む恐ろしさや切なさに胸を痛め、この物語を幸せにする道はないのかと焦燥感に駆られながら読み進めました。
そうして何度も死に戻り繰り返していくなかで、少しずつ増えていく解決のための情報とマヒルの精神的な変化と成長、そして白ずきんのデイジーとの信頼関係がキーとなり全てが繋がってトゥルーエンドへ向かっていく流れがとても気持ち良くて感動的で、持てるもの全てを使ったラストスパートの勢いはたまらなかったです!
幼い頃から慣れ親しんだ童話モチーフで、こんなにもすごくて新しい素敵な物語がまだ生み出されるのかという衝撃にも包まれました。この作品に出会えて良かったです!
【推しポイント】
自分の弱さを自覚し、どんなに絶望的な展開での死を繰り返しても、決して救われるべき人を見捨てず幸せな結末を諦めないマヒルのメンタルが最高に格好良くて惚れました!