ラノベ感想&紹介便

本と人の、出会いの一助に

【新作ラノベ感想】オリヴィア嬢は愛されると死ぬ ~ 旦那様、ちょっとこっち見すぎですわ ~

※この記事はネタバレありとなります。作品を読み終わっている方、またはネタバレを気にしないという方のみお読みください。

泣きました。美しかった。可愛かった。尊かった。これぞまさしく『愛してる』の物語。来年のこのラノ投票候補です。最高すぎました!出会えて良かった!

 

 

【概要】

SQEXノベルより12月7日に発売。

著者は紺染幸先生

イラスト担当はDSマイル先生

【あらすじ】

「勝手に目がそっち(オリヴィア)に行ってしまうんだ。なんて摩訶不思議な現象だ」「恋っていうんですよ、それ」呪われた屋敷で過ごす楽しく優しく――少し寂しい愛の物語

 

父を亡くし破産した大商家の長女であるオリヴィア=アシェルは、残された家族のために命をなげうつ覚悟で娼館の扉を叩こうとしていたところ、身なりのいい紳士に声をかけられた。「どうせならば我が家の主人のために死んでくれませんか」と。

先々代オールステット夫人が残した“主人が愛した女は死ぬ”呪い――そんな呪われた屋敷にオリヴィアは身を寄せる。この屋敷の主人クラース=オールステットに愛され、死ぬために。その報酬である金貨100枚を家族に残すために。

ところが、オリヴィアの前に現れた主人クラースは……なんか思っていたよりも面白い人だった。オリヴィアはクラースに“愛される”ように、クラースはオリヴィアを”愛さない”ように、二人の愛の駆け引きが始まる。

【感想】

オリヴィアもクラースも、屋敷の者達や医師や商人やスタイリストまで、とにかく今を生きている登場人物全員がとても魅力的だったので心から物語を楽しめました!

教養がありユーモアも持ち合わせ、悲しみを隠しながらも心からクラースを愛して、愛されるための努力もして、屋敷の人々に大切にされながら日々を楽しく幸せに過ごすオリヴィアの姿には最高の強さと優しさと美しさを見ました。こんな女性と一緒に暮らして愛せないなんてあり得ないんですよ。

けれど自分が愛せば死んでしまうことを分かっているから、どれだけ可愛くても愛おしくても必死に「そんなことしないでくれ」「愛していないよ」と答え続け、それでも紳士的に心からオリヴィアと対等に大切に接するクラースは凄く素敵なヒーローでした。女性と接するのが初めてで、初めてがオリヴィアならばタジタジになって純朴で可愛らしい少年のような反応になるのも仕方ないなと思えますしそんな姿は見ていてとても面白かったです。

そんな二人を中心とした季節の移り変わりとともに繰り広げられる期限つきの交流と、絆と愛が育まれてゆく様は温かさと切なさを内包していて、とても良い読み心地でした。

そしてカミラの想いと真正面から向き合うオリヴィアが、オールステットにきたからこそ得られた誰もが幸せなエンディングと新しい始まりと、ようやく「愛している」と言い合えた二人を見てとても幸せな気持ちになりました!クラースに本心を見つけてもらえたオリヴィアがカミラの呪い(本心)を見つけるという流れが素晴らしすぎましたね。

僕が一番泣いたのはクラースがオリヴィアの母にオリヴィアのどんなところを愛してるのか言葉を尽くして語るシーンで、これまで出会いから半年のなかで積み重ねてきた彼の深い想いの熱が文字からひしひしと伝わりボロボロ涙を流しました。この演出はズルすぎます。

この作品には様々な形の『愛』があり、時には悲痛にも憎しみにも罪悪感にもなり、けれど人生にはなくてはならないもので笑顔と喜びと幸せを運んでくれるものとして描かれていて、僕はこの作品の『愛』の解釈、表現が大好きで心から拍手喝采を捧げます。

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