ラノベ感想&紹介便

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【激推し新作ラノベ感想】俺の愛娘は悪役令嬢1

家族愛と純愛が尊い、そして波乱と幸福の日々を描いた物語。滅茶苦茶面白かったのでネタバレありで全力作品語りしたいと思います!

※今回のブログは既読者向け、ネタバレを気にしない方向けの感想となります。

 

【概要】

MFブックスより2025年1月24日に発売

著者はかわもりかぐら先生

イラスト担当は縞先生

 

【あらすじ】

俺の可愛い娘を、悪役になんて絶対させない!

乙女ゲーム「蒼乙女の幻想曲」の世界の悪役令嬢の父親に転生したことに気づいたヴォルフガング。魔法がろくに使えないことで両親から見放され、公爵家の長子でありながらも将来は伯爵になる予定だった。しかし、次期公爵の幼い弟を残して両親は他界。ヴォルフガングは弟が成人するまで公爵代理として過ごすことになる。やがて愛する女性カサンドラと結婚し、愛娘ルイーゼを授かるが、娘が四歳の年に妻は病死してしまう。ゲームのシナリオでは妻の死を契機にルイーゼはワガママな悪役令嬢に育っていくのだが、ヴォルフガングは悲しみを乗り越えて娘の幸せのために立ち上がる。

「俺の可愛い娘ルイーゼを、愛しい妻の忘れ形見を、悪役になんて絶対させない」

これは、ゲームシナリオという名の運命に逆らおうとする父親の奮闘記。

 

【感想】

乙女ゲームの悪役令嬢の父親という、これまでに見たことない転生先でいったいどんな物語が見られるのだろうと期待半分不安半分だったのですが、蓋を開けてみれば妻と娘への天元突破した愛に満ちた男の、不器用で誠実で格好良い生き様を心に叩きつけられ感動という単語では全く足りない至上の読書体験ができました!

物語の舞台であるゲームは設定資料を読み込むほどプレイしており、たとえ結婚相手も娘もストーリー通りだとしても、本気で愛して転生した世界を本気で全力で生きている時点でまずヴォルフガングに対する好感度は滅茶苦茶高いです!その上で彼は魔力量は常人を遥かに超えているも一般的な魔法が使えず、視認したものを燃やす魔眼を持つも相貌失認(人の顔と名前を紐付けることが不得手)を発症しているという、アドバンテージとハンデキャップを同時に抱えていました。けれど必死の努力と家族・友・師の支えで幸せに生活している姿を見て強く胸打たれました。また最初は嫌みだなと思われていた公爵家の男性がヴォルフガングにとってとても頼りになる無二の親友になっていくところは、男の親友キャラ好きとしてはたまらなかったです!こうやって彼は持ち前の性格と心の真っ直ぐさで長い付き合いのできる素敵な味方を得ていったのだろうなと思いました。

この1冊のなかでは、妻の忘れ形見である大事な娘が悪役令嬢にならないように頑張る手探りの子育てと同時に組織的な事件や、後継者問題、後妻問題、王子の婚約者問題など貴族ならではの様々な苦難が描かれ、それらをヴォルフガングが持ち前の能力を活用し、またこれまで積み重ねてきた縁の助力で、解決したり丸く収めたり新しい愛を懐に入れたりとどれも読み応え抜群でした。そのなかでもやっぱり一番心に刺さったのは終盤の、とんでもないことをやらかしてくれた王子から娘を守るために王宮へ乗り込んでの怒り爆発且つ冷徹な大立回りで最高に格好良くて無敵の父親感満載で、さらにそこでの弟のマルクスが王妃に放った台詞が本当に素晴らしかったです!あれを読んだ瞬間の感動はきっと一生忘れないです。

ルイーゼも父親のもとで無限の愛を、周囲の素敵な人達との交流のもとで優しさを一心に受けて、誰もが認める魅力的なレディへと成長してゆくところがとても可愛くて微笑ましくて癒されました。悪役令嬢の運命を弾き返し、彼女には最高の幸せを手に入れて欲しいと心から思います。またヴォルフガングの妻が彼に宛てた最後の手紙の内容と、それを受けての彼の決意と宣言が至上の感動を与えてくれました!

ここまで濃く深く感性に刺さる愛の物語を読んだのは久しぶりで脳を焼かれました。この物語に出会えたことに感謝!家族愛万歳!!!

 

【推しポイント】

ヴォルフガングの誠実さに満ちた良き生き方によって結ばれてきた沢山の素敵な縁が、結果的に娘の幸せに繋がるという展開が最高!

 

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