久しぶりに推理ものストーリーにガン刺さり!それでいて関係性オタクの血も騒ぐ滅茶苦茶面白い作品で超満足!

【概要】
2024年9月18日にガガガ文庫より発売。
第18回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作
著者は野中春樹先生
イラスト担当はpon先生
【あらすじ】
蛇谷さんは、おかしい。
「ああ、本当に――妬ましい」
蛇谷カンナ。園芸部所属。美しい花を憎み、雑草の惨めさを愛する女。
黙っていれば怖ろしいほどの美人なのに、口を開けば怒涛の毒舌。
好きなものより嫌いなもので自分を語りたい。
その行動原理は全て――「嫉妬」。
こんな残念すぎる先輩と、どうして一緒に行動する羽目になっちゃったんだろう?
答えはひとつ。
嫉妬深くて攻撃的すぎるがために、他人の嘘や悪意を見抜いてしまう蛇谷さんのそばにいられるのが、どうしても「嘘」がつけなくて、本音がなんでも顔に出てしまう僕だけだから。
蛇谷さんが好きなのは、惨めな人、馬鹿な人、自分より下な人、嫌われ者、そして。
犯人――悪者のいる謎。
学校で起こる様々な「謎解き」に立ち向かう蛇谷さんの動機はもちろん嫉妬で、その目的は悪者を追い詰め、知的に拷問すること……なのだけれど。
ぜんぜん尊敬もできないけれど。
それでも僕は、このおかしな先輩のことを――カッコいいと思ってしまうのだ。
青春は、綺麗ごとでは終われない。
嫉妬で嘘をあぶりだす、学園青春“探偵”物語。
【感想】
嫉妬や悪意が根本となる様々な事件を鋭い視点と舌鋒で嘘を暴き解決していく、ここでしか味わえないであろう独特な爽快感に魅了されました!
嫉妬にまみれ、悪意を許さない、陰のある美人な蛇谷さんが持つ最高のかわいいとカッコいいを、会話劇や事件と絡めて見せる魅せ方が最高!そして険と柔のギャップもすごく良かったです。彼女は残念かわいいの極致だなと感じました!
また主人公である嘘がつけない野水くんも、普段の受け身でツッコミ役でサポート担当な姿と、いざという時は凄く男らしい活躍をみせる姿というギャップを見せてくれていて、とっても好きでした!
事件の内容は人が当たり前に持つマイナス感情が良くない方向に舵を切ってしまったようなもので現実感があって、胸が痛く切ないものもあったり愚かとしか言いようがなくため息しか出ないものだったりと様々で独自の面白さがありました!
謎解きにも青春にも真摯に向き合い紡がれた秀作です!
【推しポイント】
互いの傍が唯一無二の居場所な蛇谷さんと野水くんの両想いが素敵すぎる!